教養教育や専門学術の教育が中心になる。

2011年の中教審答申キャリア教育・職業教育の在り方についてで、高等教育における職業実践的な教育に特化した枠組みの構築が提言されて以来の着地点である。
中教審は夏ごろをめどに最終答申をまとめ、文部科学省は年内にも国会に関係法案を提出、早ければ19年春に新制度を発足させたいと聞く。
実現すれば戦後の新制四年制大学発足、1962年の五 年制高等専門学校の発足、64年の短期大学恒久化に続く半世紀ぶりの高等教育制度の抜本改革である。
構想の主眼は3点ある。
第1に学術の中心である大学、深く専門の学芸を教授研究する短大や高専と異なり、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成する専修学校とも異なる、学術教育と職業実践知・技能を架橋できる実践的職業人を養成する高等教育機関の新設である。
第2に、この機関は短大と同様に大学制度の中に位置づけられる。
学生は職業教育を受けながら職業資格等を取得でき、国際的に通用する学位取得も可能になる。
第3に、修業年限は四年一貫課程を基本に、2~3年の前期課程、1~2年の後期課程の二段階編成とし、さらに前期課程単独の設置も許容される。
既存の大学 や短大、高専でも職業教育は対応可能ではないかという指摘もある。
だが、わが国の高等教育と職業教育における改革の必要性はもはやそのような段階を超えている。
90年代以降、四年制大学を機能別に分ける種別化や職業教育化が進められたが、一部の国家資格対応の養成課程を除くと職業教育目的の遂行は個々の大学に委ねられるのみであり、十全に機能してきたとはいえない。
大学はあくまでも学術の中心であり職業教育機関ではないので、教養教育や専門学術の教育が中心になる。